リストカットやギャンブル依存に「新薬セリンクロ」は効果的か?

この記事のまとめ

大塚製薬から、新薬の「セリンクロ」成分名;ナルメフェンが発表されました。なんと、この新薬が過食嘔吐や、リストカットなどの自傷を辞める第一歩となるかもしれません。
この記事では薬剤師の視点から、この新薬を分析してみたいと思います。ただし、禁断の方法なので使用する場合は、すべて自己責任です。

セリンクロで期待される効果

本来の使い方はアルコール依存

本来、このお薬はアルコール依存症の治療として開発されました。適用もおそらく他にはありません。しかしながら、このお薬の作用機序(薬が効くメカニズム)を見てみると、自傷(リストカットやアームカット)など、自分で辞めたくても辞められない行動を抑えることができる可能性があります。

なんとその他にも、自分だけでは辞めにくい「ギャンブル依存」「セックス依存」「過食嘔吐」への効果も期待されています。

記事の後半でこの新薬のメカニズムを見てみますが、辞めたくても辞められない、分かってはいるけど辞められない」という脳の欲求(脳内麻薬)を抑えるという点ではすべての行動は共通しているためです。

値段と入手方法

入手は医師による処方せんか、個人輸入代行を利用して海外から取り寄せることができます。ここに関しては自己責任になりますが、「nalmefene」と検索すればいくらでもでてきます。

気になる費用ですが、処方せんに基づく場合は保険が使えずに、自費になる可能性もあります。薬の値段は自費では1日300円程度保険が適用されれば1日約100円になることが予想されます。

この記事の根拠

Nalmefene, an opioid antagonist, caused a decrease in self-mutilative behavior in a 500-kg stallion. Self-mutilative attempts were counted during a control period and on 4 subsequent occasions after the IM administration of 100 mg, 200 mg, 400 mg, or 800 mg of nalmefene. The frequency of self-mutilation decreased with increasing doses of nalmefene and was virtually abolished with the 800-mg dose.(Pubmedより引用)

海外の研究論文ではすでに動物実験にて自傷行為が減少、消滅したという論文が発表されています。

ここに書かれているのは簡単に言うと、自傷行為をしてしまうお馬さんに「セリンクロ」成分名;ナルメフェンを投与すると、自傷回数が減少。そして更に量を増やすと完全に自傷行為はなくなった、というものです。

今後、ますます臨床研究が本格的になり、適用がとれるといいですね。

このお薬が効くメカニズム

少し難しいので、読み飛ばしても大丈夫です。

自傷をしてしまう方はカット、アルコール依存症の方は飲酒、またはセックスにより脳内のオピオイド受容体(μ、σ)という部分が反応するようになります。ここが反応することで、これらの行為により幸せや安心感をより強く感じるようになります。すると、やってはいけないとわかっていても、快楽のために繰り返してしまいます。

そこで、このお薬を飲むとオピオイド受容体(μ、σ)をブロックするため、受容体が反応しにくくなります。つまり、カットしても、アルコールを飲んでも、セックスをしても、あまり快楽を得ることができにくくなります。

更にオピオイド受容体にはもう一種類、(κ)というタイプも存在し、ここが反応すると、その行為に嫌悪感を覚えると言われています。

実はこの新薬はオピオイド受容体(κ)を反応させることにより、カットや飲酒、セックスに嫌悪感を覚えるようになることが期待されています。

オピオイド受容体のまとめ

脳内μをブロック→快楽を防止
脳内σをブロック→快楽を防止
脳内κを刺激→嫌悪感が発生

つまり、アルコール依存症の方は飲酒を、自傷癖のある方は自傷を無理に辞めなくても大丈夫です。このお薬を飲み続ければ、薬の作用により、自然と回数自体が減ることでしょう。